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小学校の“プログラミング教育”必修化でよく耳にする「STEM教育」って何?

文/三宅隆 写真/PIXTA

2018.01.09

2020年から、全国の小学校で「プログラミング教育」が必修化されます。プログラミングというとゲームやアプリ、人工知能などが思い当たりますが、授業はどのような内容になるのでしょう? 特に、子どもを持つママやパパにとっては、他人事ではないのでは?

そんなプログラミング教育の必修化に伴い、「STEM(ステム)教育」というキーワードもよく耳にするようになりました。ちなみにSTEMとは「Science(科学)」、「Technology(技術)」、「Engineering(工学)」、「Mathematics(数学)」の頭文字から取った造語です。なんだか難しそうですが、そもそもSTEM教育がなぜいま必要なのか、具体的にどんな教育法なのか、現時点でどのようなスクールがあるのか、など、いまのうちから知っておきたい、その基礎知識をご紹介しましょう。

 

1.STEM教育で養われるのは「自ら論理的に考える力」

スマートフォンの登場から10年ほどが経ち、社会生活はそれまでと一変しました。電話として機能しながらもデジカメに匹敵する写真が撮れたり、FacebookやTwitterといったSNSを活用できたりと、インターネット上でのコミュニケーションが充実。それぞれの人が表現できる場を持ったことで、ライフスタイルそのものにも影響を与えています。こういったテクノロジーによる生活の変化は、当然これからも続きます。むしろ、人工知能やIoT(インターネット・オブ・シングス)の登場によって、加速度的に進化していくことになるでしょう。

そこで必要になってくるのが、STEM教育。プログラミング教育の一環として語られることが多いため誤解しがちですが、本来は、プログラミング技術を学ぶためのメソッドではありません。これからの社会において、単純作業は人工知能やロボットが人間の代わりに高速で行うことになるでしょう。そうした社会では、より創造性の高い作業を行える人材が必要になってくると予想されます。プログラミングを含め「社会に必要な情報や技術を自ら学び取ること」こそが、STEM教育の本来の目的なのです。

 

 

2.ゲームやロボット、ドローンなどを使って試行錯誤を重ねる

STEM教育では、知識を習得することよりも、“知識を活用する力の育成”に重きを置いています。知識をもとに、問題をどうやって解決するかを探求するわけです。このためSTEM教育では、自ら手を動かして学ぶことを重視します。例えば、ロボットプログラミングを通じて「ロボットにはどんな部品や構造が必要なのか」、「どのようなプログラミングをすればよいか」、「なぜ動かないのか」、「どんなロボットをデザインするか」といったことを、実際に試行錯誤します。

そんななか、ブロックを組み合わせることで仮想空間をつくり上げていく人気ゲーム「マインクラフト」を利用したSTEM教育カリキュラムも登場しています。ほかにも、ドローンやロボットなどを使った多種多様なカリキュラムが現れることでしょう。

 

 

3.公的機関から民間企業まで取り組みは広がっていく

現在、文部科学省が中心となり、学習指導要領の見直しや、入試制度、センター試験の改革が進められています。高校などでは先進的な理数教育や、国際性を育むための取り組みを行う学校も増えてきました。また、創造性、独創性を高める指導方法、教材の開発といった取り組みを実施する「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」や、日本科学オリンピック委員会による数学・科学・生物学などの知識を競い合う「国際科学技術コンテスト」なども、STEM教育の一環として行われています。

民間では、モノづくりを通じてSTEM教育を行う専門スクール「ステモン」や、ロボット製作によって体験的な学習や問題解決能力を養う教室「ロボット科学教育 クレファス」などがあります。また、埼玉大学の「STEM教育研究センター」では、教育方法および指導者育成の専門家を中心に、外部の共同研究機関や大学周辺地域といった教育現場と連携し、ロボットを通じたSTEM教育の普及に努めています。

奇しくも、東京オリンピックが開催される2020年を皮切りに、これからの未来を担う子どもたちへの教育が変動期を迎えます。STEM教育をきっかけに、子どもたちにどう学んでいって欲しいのか、ママやパパはいまから考えておくことが大事なのかもしれません。

 

文/三宅 隆

2人の子どもを持つ、フリーの編集者・ライター。最新家電やガジェットなど、デジタル製品を中心に雑誌やWebで記事を手掛ける。

 

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