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教えて!マイスター

意外と知らない!? アジで学ぶ、焼き魚のキレイな食べ方と正しい和食のマナー

魚はキレイに食べるよう心掛けているつもりだけど、本当にこの食べ方でいいのか、あまり自信がない……。そんな人も多いのではないでしょうか? そこで「“尾頭つき焼き魚”のキレイな食べ方と作法(マナー)」を、テレビや雑誌などで活躍する料理研究家・小川聖子さんに教えてもらいました。今回、レクチャーに使うのは、おなじみの魚=アジ。アジをキレイに食べられるようになれば、お呼ばれの席などで立派な尾頭つきの焼き魚を前にしても安心ですよね。これを機会に、ぜひキレイな食べ方を覚えておきましょう! ■魚の中央から箸を入れていく「尾頭付きの魚の場合、頭が左、お腹の部分が手前になるように出されます。まずは、背骨に沿うように箸を入れていきましょう。頭の付け根から尻尾の方向に向かって、切れ目をつけながら身をほぐしていきます」 ■上の身から食べる「最初に食べるのは、上半分から。さらに頭の付け根(左)から右に向かって食べていきましょう」 ■中骨を一気に外す「続いて下半分も食べたら、中骨を外します。このとき、頭を持つと外しやすいのですが、基本的に料理に手で触れるのは、和食ではマナー違反とされています。特に正式な場などでは避けたい行為ですね。ではどうすればよいのでしょうか? 実は“懐紙(かいし)”と呼ばれるものを使って魚を押さえるのです。後ほど詳しく解説しますね」 ■皮や骨を集めて懐紙で隠す「上の身、下の身も食べて中骨を外し、裏側の身も食べ終えたら、最後の始末です。残った皮や骨を集め、右肩に寄せましょう。できれば、魚の頭を折ってコンパクトにし、一箇所にまとめて見苦しくないように。魚の下にしいてあった笹などがあれば、かぶせたり、もし食事中に使った“懐紙”があれば、最後にそれをかぶせたりしてもOKです」 ★Point:和食の席で便利な“懐紙”の使い方「“懐紙”とは、いまでいうところのティッシュペーパーですね。基本的に和食の場合、ナプキンやお手拭きは出てこないものなのです。なので普通は、この“懐紙”を使います。正式なマナーが必要とされる場でこの“懐紙”をサッと取り出すと『マナーをよく知っている人だな』と思われますよ」「和紙でできたこの紙を懐に入れておき、お皿が遠くて(大きくて)、箸で手元に引き寄せるまでにこぼしてしまいそうな料理は“懐紙”で受けましょう。折りたたんで使うのが正しい作法で、手前に“輪”がくるように持ちます。ほかにも、お菓子を包むなり、子どもにお小遣いを渡すなり、いろいろなシーンに活用できます」「粗相したときや口を拭うときも“懐紙”を使えばいいのです。それと、魚の小骨を出すときにも“懐紙”は便利なんですよ。アジなどは特に骨が多いですからね」 ■尾頭つき焼き魚の“マナー違反”【魚の頭を右側にして出す→NG】「魚の頭は左側にするのが正解です。和食のマナーは“人はすべて右利き”という前提で考えられているので、右手で食べやすいよう左向きにするわけです。いまと違って、左利きの人は必ず右利きに矯正しなくてはいけなかった時代の名残りですね」「魚屋さんでも、左向きに置かれることを想定し、内臓を取りやすいよう裏側のお腹に穴を空けてさばきます。ですから右向きに置いてしまうと、こうやって穴が見えてしまうわけです」 【魚をひっくり返す→NG】「中骨を取る際、ひっくり返して食べたり骨を取ったりするのはNGです。あくまで表は表のまま食べましょう。基本的に日本料理は“盛られた形をあまり崩さない”という慣習があります。お刺身などもすべて美しい形に盛ってあるので、手前から食べて盛りを崩さない。つまり、最後に盛りつけられたものから食べていくようになっているのです」 【手皿(手で食べ物を受ける)→NG】「焼き魚だけでなく、煮魚や刺し身などを食べるときにもマナーがあります。手のひらを添えて食べ物を運ぶ“手皿”もよく見かける行為ですが、実はこれ、NGなんです。和食のルールは、まず“手に持てるサイズのお皿は手で持つ”のが基本です。しかし、手に持てない大きなお皿や、持ちにくい形のお皿に料理が盛られている場合もありますよね。そんなとき、煮魚や刺し身など、汁がポタポタとこぼれそうなものを取るときは、手皿ではなく“懐紙”を左手に持って食べるのが正しいマナーです。たとえば、フランス料理でバナナやりんごがそのまま出てきたとします。でも、どちらもナイフとフォークで皮を剥く正しい方法があるんです。マナーの基本において『手で持っていいですよ』という印は、フィンガーボウルが出てきたときだけ。そして日本料理には、基本的に手で持って食べるという作法はありません。マナーとは、見ている相手に見苦しいと思われないよう、とにかくキレイに食べること。懐石料理などしきたりが多い場であっても、基本がわかっていればそう困ることはないと思います。ぜひ、大人のマナーを意識しながら、魚や和食をおいしく楽しんでくださいね」 教えてくれた人小川聖子さん神奈川県出身。女子栄養大学 栄養学部卒業後、料理研究家としてテレビや雑誌で活動するかたわら、大学院博士課程で日本各地の農産物の成り立ちや在来作物(果物・野菜)の保存と加工法、食文化論を専門的に研究。近著に『塩分一日6gの健康献立』(女子栄養大学出版部)などがある。 【こちらの記事もオススメです】[glink url="http://www.nikuine-press.com/trial/post_1457/"][glink url="http://www.nikuine-press.com/howto/post_597/"]

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【意外に知らない!? お屠蘇とおせち料理のマナー】厄年の人は最後に飲み、最初は祝い肴。お正月までに覚えたい8つの作法

お正月の風物詩ともいうべきお屠蘇やおせち料理。家族団らんで楽しむだけでなく、年始はお呼ばれの席なども多いので、人前で食べるケースも多いですよね。そんなハレの席で恥ずかしい思いをしないために、大人ならぜひ知っておきたいのが、お屠蘇やおせち料理に関するマナー。意外と知らないお作法を、テレビや雑誌などで活躍する料理研究家・小川聖子さんに教えてもらいました。 ■お屠蘇はまず年少者から飲むおせち料理の前にまず、お屠蘇を飲みますが、お屠蘇にはどんな意味合いやマナーがあるのでしょう?「元日の朝に家族と新年のあいさつを交わした後に飲む縁起物のお酒=お屠蘇には、邪気を振り払い家族の健康を守る役目があるとされています。中身は“屠蘇散”という漢方薬を、赤酒、みりん、日本酒などに漬けたもの。屠蘇器セットは、盃が3枚備わるものがオーソドックスで、漆塗りや錫(すず)でできたものもあります。そして、お屠蘇に関する1つ目のマナーが、“年少者から年長者へと順番に飲む”ということ。これには、“若者の活発な生気を年長者が飲み取る”という意味合いがあるんだそうです。宴会の席のように、気を遣って年長者から注ぐと、かえってマナー違反になってしまうのです」※未成年者やクルマを運転する予定の人は、あくまで口をつける真似だけにするか、アルコールを含まないもので! ■厄年の人はお屠蘇を最後に飲む「そして2つ目が、厄年の人は最後に飲むというマナー。これには、“他の人々から厄を払う力を借りる”という意味合いがあるんだそうです。2016年に厄年を迎える方は、ぜひ覚えておいてください!」ここでひとつ疑問が。“お屠蘇を注いでもらう際のマナー”というのもあるのでしょうか? 「“盃を片手(または両手)で持ち、注いでもらう”という話も聞きますが、地方や流派によってしきたりは異なります。確固たるルールがあるわけではありませんので、基本的には“他人に不快な思いをさせない”というのが、マナーでしょうね」 ■おせち料理は“祝い肴”から食べる所狭しと重箱に詰められた、彩り豊かでおいしそうなおせち料理。記者はいつも、大好物の栗きんとんから食べ始めてしまうのですが、これってマナー的に問題ないのでしょうか?「おせち料理の中身は、“絶対これじゃないとダメ”というものはありません。ですが、ひとつだけ、最初は“祝い肴”から食べ始めましょうという決まりごとがあるんです。祝い肴とは、おせち料理の中の“黒豆”“田作り”“数の子”の3種を指します」それは知りませんでした…。最初から好き勝手に箸をつけておりました。さっそく心が折れそうになりながらも、続けて“祝い肴”について説明してもらいました。「祝い肴における“黒豆”“田作り”“数の子”の3種は、関西圏では“たたきごぼう”がいずれかと入れ替わることも多いですね。黒豆には、“元気でまめまめしく働けますように”。数の子には、“子どもがたくさん生まれますように”。田作りには、“田んぼでたくさんお米がとれますように”。たたきごぼうには、“家がごぼうのように深く根を張ってしっかり建ちますように”という意味がこめられています。“田作り”とは、カタクチイワシ(ごまめ)を食材とした料理で、魚粉を田んぼの肥料にしたことから、その名前が付いたそうです。そして、重箱に詰められている場合、通常、祝い肴は『一の重』(最上段)に入っています」【他の食材の由来】えび…腰が曲がるくらいまで、長生きできますようにれんこん…れんこんの穴のように、まっすぐに将来を見通せますように紅白かまぼこ…新しい年を、おめでたい白と赤で祝うにんじん(梅の花の形)…まだ寒いうちに花を咲かせる梅のように、強くなれますようにだてまき…きれいな色と形で、お正月を祝うたけのこ…たけのこのように、グングン大きくなれますようにきんとん…金色に輝く、豊かな1年でありますように昆布巻き…“よろこぶ”と同じ“こぶ”という文字が入っていて、おめでたい食べ物ぶり…大きくなるにつれて名前が変わる縁起の良い出世魚里芋…小芋をたくさんつける里芋のように、子どもがたくさんできますように おせち料理は、そもそも“家に年神様を迎えて一緒に食事をする”ための料理。また、よく知られることですが、かつて女性だけが家事を担っていた時代に、作り置きできる料理を重箱に詰めておくことで、ふだん家事で忙しい女性がお正月の間は休めるようにする、という狙いもありました。「昔は、お正月の間はかまどの火を使わないようにしていました。また、お正月のお客さんにすぐに出せるように料理を作り置いた、と考えることもできます」と小川さん。そして、年神様が移動するのは夜といわれていて、今でも大みそかの夜におせち料理を食べる地域もあるのだとか。てっきり誰もが元旦の朝に食べているものと思っていたので、これにはちょっとびっくりです。 ■“祝い箸”の逆側で料理を取り分けないおせち料理を食べるときに使う“祝い箸”。両端が細くなっていて、どちらでも料理をつまめる両口箸になっています。おせち料理は大皿や重箱を広げて食べるので、遠くに食べたいものがあった場合、誰かに「それ、とって!」とお願いすることもあるでしょう。そんなとき、お箸の逆側で取り分けてあげるのはNGなのだとか。「家に年神様を迎えて、一緒に食事をするのがおせち料理。そのため祝い箸の逆側は、神様が食べるときのためにあるもの。なので、取り分け用に逆さ箸をするのはマナー違反になります」 親切心から、うっかり逆さ箸をしないよう気をつけないといけませんね。 のこり4つのマナーは次のページに■“祝い箸”は洗って繰り返し使う祝い箸にはもうひとつ、覚えておきたいことがあります。「祝い箸は、普通の割り箸のような使い捨てではありません。一度使ったら、洗ってお正月の間、使い続けましょう。誰のものか分からなくなるので、箸袋に筆で名前を書いておくのも、ひとつのマナーです」 ■お椀は“糸底”を持って自分に引きつけるお正月の間に食べるものといえば、お雑煮ですよね。どんな具材を使うか、餅を何個入れるか、みなさんこだわりがあるかと思います。しかし、食べるときの“お椀の持ち方”にもお作法があること、知っていましたか?「お椀は、“糸底”(底の輪状に突き出した部分)をしっかりと持ちましょう。日本料理は、“片手に持てる大きさの器”は手で持って食べるという作法があります。自分の胸元でお椀を持ち、汁がポタポタ垂れないようにして、さらに、箸で食材をひと口大に切って食べるのがマナーです」 ■正しいお椀の作法をマスターしよう!1:お椀のふたを傾け、ふたについたしずくを切る。 2:左手で糸底を持ち、お椀を持つ。 3:お箸を右手で取り上げ、お椀の下の左手で支えて、持ち直す。 4:お箸で具材を食べる。具と汁は交互にいただく。お箸を下に置くときにはこの逆で。 NGの例:糸底を持たずに、お椀の周囲を持つのはマナー違反です。他に、お椀を持たずに口を近づける“犬食い”や、落ちた料理を手で受ける“手皿”なども、もちろんNGです。 ■おせちに使う器はなぜ赤い?お屠蘇やおせち料理に関して、いかに無知だったかを痛感しまくりの記者。最後に、「おせち料理にまつわる器は、きれいな赤色で見栄えも華々しく、年の始めにふさわしいものですよね?」と尋ねたところ、逆に小川さんから「どうして赤色なのか、本当の理由を知っていますか?」と質問が…。「おせち料理に使う器が赤いのは、“邪気を振り払う”意味が込められているからです。昔から、赤は“魔=悪いモノ”が嫌う色といわれていて、さまざまなところにこの色が使われていました。たとえば“ダルマ”など、伝統的な子どものおもちゃには赤いものが多いですよね? 赤色には特別な力があるとされ、それにあやかろうとしたんですね。医療が未発達で、子どもが無事に成長するのが難しかった時代、赤に親の願いを込めていたのでしょう。おせち料理には語呂合わせのような由来が多いのも、実際に“言葉には力がある”と思われていたからです。そんな昔の人々の願いや思いを思い返しながら、おせち料理のある団らんをぜひ楽しんでくださいね」 教えてくれた人小川聖子さん小川聖子(おがわせいこ):神奈川県出身。女子栄養大学栄養学部卒業後、料理研究家としてテレビや雑誌で活動するかたわら、大学院博士課程で日本各地の農産物の成り立ちや在来作物(果物・野菜)の保存と加工法、食文化論を専門的に研究。近著に『塩分一日6gの健康献立』(女子栄養大学出版部)などがある。