次々に新たな製品やサービスが登場する家電の世界。「聞いたことはあるけれど、実はイマイチ中身がよくわかっていない言葉」、ありませんか? そんな家電や家電の技術に関する用語を、『All About』で家電ガイドを務める滝田勝紀さんにわかりやすく教えてもらいました。
〔白物家電・黒物家電〕
── まず、この2つの言葉の違いは?
「昔、キッチンのカラーリングは“白”が主流で、炊飯器や冷蔵庫といった生活家電といえば、その場に合うよう白い色合いのものが多かったんです。なので“白物”。そして“黒物”は、ビデオデッキやテレビといったデジタル系の家電を指していました。ただ最近は、家電のカラーは白物・黒物に縛られず、バリエーションに富んでいますから、あくまで総称になっていますね」
〔サーキュレーター〕
── 最近、流行りのサーキュレーターですが、扇風機となにが違うのでしょうか?
「基本的に、扇風機は人へ向けて風を送るもの。一方のサーキュレーターは、空気を循環させる目的でつくられたものです。扇風機は、風量や向きの調整を行いやすいのですが、サーキュレーターは直進性の強い風を送ることを重視して設計されています。そのため、エアコンの近くに設置すれば、冷気や暖気が効率よく部屋中に届けられるので、エコにもつながるのです」
〔サイクロン式掃除機〕
── ネーミングがいかにも「吸い込みそう!」というイメージがありますが、そもそも具体的な特徴とメリットは?
「従来の紙パックの代わりに、風の力でゴミを分離するシステムが採用されている掃除機のことですね。本格的なサイクロン式掃除機であれば、風の遠心分離によるゴミ分離構造のおかげでフィルターがいらないため、目詰まりせずに、吸引力が一定しているという特徴を持っています。紙パックを交換する必要がないので、ランニングコストを大幅に抑えられるメリットもありますね」
〔IH〕
── “IHクッキングヒーター”などでキーワード自体はよく知られていますが、どんな仕組みなのでしょう?
「IHは“インダクションヒーター” の頭文字です。この機構は、IHクッキングヒーターだけでなく、炊飯器にも使用されています。たとえばIH炊飯器の場合“電磁誘導加熱”といって、内釜の周囲を電熱線がグルグルグルっと取り囲んで温めています。熱効率がよく、ムラなくお米を炊くことができるんです」
〔LED(エルイーディー)電球〕
── 「我が家も蛍光灯からLED電球に変えた」などとよく話題になりますが、仕組みや特長は?
「LEDは、Light(光)、Emitting(放出する)、Diode(ダイオード/半導体)のそれぞれ頭文字をとったもので、文字どおり、電気を流すと発光する半導体の一種です。特長は、スイッチのオン/オフに強くいので長寿命で、省エネ性能も高いんです。販売当初に比べ、バリエーションも豊富に登場していますので、目的に合ったLED電球を選びたいですね」
〔圧縮機/コンプレッサー〕
── 正直、なにかを圧縮する機械のこと、くらいしかわかりません……。
「おもに、エアコンと冷蔵庫に搭載されているもので“冷媒を圧縮する機械”のこと。冷媒と呼ばれるガスを圧縮させることで生まれる熱を、移動させる技術です。エアコンや冷蔵庫で空気を冷やしたり温めたりするのに使われています」
〔ヒートポンプ〕
── ポンプというくらいですから、熱を押し出すなにかのことでしょうか?
「そう、正解です! 熱を集めて、必要な場所に移動させる技術ですね。エアコンや給湯機、床暖房や“エコキュート”の熱源として使われています。要は、少ない電気で効率よく大きな熱を作れるというもの。省エネになるので環境にも優しいですよ」
*****
「あれ? 自分が思っていたのとちょっと意味が違う?」なんて言葉、ありましたか? その意味を理解しておくことで、自分にフィットした新しい家電やサービスをいち早く見つけられたり、家事の効率アップや家計のコストカットにつながったり、なにかメリットがある可能性は大。ぜひ参考にしてみてくださいね。
教えてくれた人
滝田勝紀さん
『All About』の家電ガイド。フリーランスの編集者。モノ情報誌で家電製品の担当を10年以上務める。とくにロボット系家電やIoT家電に精通。毎年9月にドイツで開催される世界一の家電見本市「IFA 2015」ほか、海外の家電イベント/家電メーカーの取材経験も豊富。
【用語解説記事】